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asahi.com(朝日新聞社):明瞭会計の葬儀事業に僧侶異議 「言い値」放置に苦情も - 社会
大手スーパーのイオンが昨秋、「安心の明瞭(めいりょう)会計」をうたい、葬儀事業を始めたが、これに僧侶らが「仏教本来の精神を踏みにじった」と異議を唱えている。寄付金であるお布施や戒名料などを定額料金のようにホームページで表示したことに対し、伝統仏教教団でつくる全日本仏教会(全日仏)が反発。イオンは削除に応じた。ビジネスと仏事のはざまで葬式が揺れている。
「お布施はシステム化になじまない。遺族それぞれに寄り添う変動相場制であるべきだ。(イオンは)もっとおとなしくやっていただきたい」
全日仏が東京・秋葉原で13日に開いたシンポジウム。パネリストの一人、僧侶で作家の玄侑(げんゆう)宗久さんは、こんな不快感を示した。
イオンがクレジットカード契約者を対象に、葬儀事業に乗り出したのは昨年9月。全国約400社の葬儀業者と提携し、コールセンターに電話をすれば近くの業者を紹介する。全国共通の標準価格をもとに、棺や骨つぼなど費用の細目をすべて公開している。
今年5月には、僧侶の派遣をあっせんするサービスも始めた。「お布施の目安」は、戒名のランクなどに応じて10万円、25万円、40万円、55万円。ホームページに表示し、「8宗派の約600カ寺と連携」とも宣伝していた。
全日仏は「僧侶への『ギャラ』のように表示され、寺が戒名を売買している印象も与える」などと反発。表示をやめるよう、6月から申し入れていた。戸松義晴(とまつ・よしはる)事務総長は「お布施という信仰の核心部分まで商品化された。この一線を越えられると、葬儀が仏教儀式として成り立たなくなる」と危機感を募らせる。
数回の話し合いの末、イオンは今月上旬、ホームページから「お布施の目安」を削除した。ただし、コールセンターでは口頭で伝えている。
全日仏が神経質になるのは、数百万円に上る高額の戒名料やお布施の不明確な経理がバブル期から批判されてきたからだ。全日仏は2000年に戒名に関する報告書をまとめ、「一部に高額な請求をする僧侶がいる」と認めた上で、「今後、『戒名料』という表現は用いない」「戒名は売買の対象ではない」などと表明していた。
とはいえ、具体的な改善策を示してきたわけではなく、全日仏には「僧侶はきれいごとを言い、実際には戒名を売りつけている」と怒りの声が寄せられているという。国民生活センターによると、葬儀に関する相談は09年度は全国で544件。05年度の約1.5倍に上る。特にお布施や戒名料に関する相談が目立つ。
イオンから提携を打診された溝口祭典(東京都八王子市)の担当者は「知れば不信感はなくなる」と、希望者にお布施や戒名の意味を事前に説明している。一方、京都府内の葬儀業者は「お布施は遺族の経済力などで決まる」とイオンに批判的ながら、お布施の額は「僧侶の言い値という面はあった」。イオンの担当者も「お布施の目安を知りたい声は多い」と、消費者ニーズに応えたサービスだと強調する。
全日仏は「もはや問題を先送りできない」と、よりよい葬儀のあり方について全国の葬儀業者らと話し合う方針を示している。(岡見理沙、編集委員・森本俊司)
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「葬式は、要らない」「戒名」などの著作がある宗教学者の島田裕巳さんの話 全国展開を急ぐあまり、地域差がある葬儀を画一化しかねないイオンのやり方には疑問を感じる。一方で、戒名のランク付けのほか、普段つきあいがないにもかかわらず戒名をつけてきた仏教界の矛盾もあらわになった。不況の折、高額の葬式や墓地費用は家計を圧迫している。葬儀のどこに問題があるのかを考えるよい機会だ。
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〈全日本仏教会〉 天台宗や浄土宗など伝統仏教の約60宗派と京都仏教会など各地の仏教会でつくる財団法人。1957年に発足し、東京都港区に事務局を置く。約100団体の連合組織で全国7万5千の寺院の大半が所属している。
(via hsmt)